4月 〜Cお花見その4 作者都合により3年すっとばして4年のタコ紹介留年組編 「では、次、さりげなくこの後5年生(※浪人して5年大学にいる人々のこと)組が控えてますけど、4年生の先輩方タコ紹介おねがいしまーす」 実は酒が強く、いい感じに盛りあがってきたトーリスが司会を続行する。 「誰からやるん?」 「学年で言ったら留年して3年のやつからじゃねぇ?」 アーサーの一言にキッと3対の目が向いたが、留年したのは本人の自己責任である。それもそうだね!とアルフレッドの酷い一言によりトップバッターに選ばれたのはアントニーニョだった。紹介するのはローデリヒである。 「えー、この方は商学部3年、本来なら4年の筈のアントーニーニョ・フェルナンデス・カリエドです。ジャンルは……ショタコンでよろしかったですか?」 「ショタだけやないよ!小さい子は純粋やから性別関係ないだけや」 どう考えても危険人物のせりふだけど、気持ちはちょっとわかるなぁと心の片隅でエドァルドが思ったことは秘密である。 「最近だとマリアホリックなどもお好きです。古い言葉を使うならはっきりいってA系が御趣味です。絵はお描きになりません。ゲームはマッジック・ザ・ギャザリングは大会にも出場なさったこともありますので、興味がある方は是非お話を伺って見るいいと思います。留年は2年から3年に上がる時でしたね。理由は……何を落としたんです?バイトのし過ぎですか、麻雀のやり過ぎですか、それともそもそも単位計算を間違えたんですか?」 全部じゃね?とぼそっとギルベルトが呟いた。 「いやな、俺の計算では前期3回、後期3回までやったら休んでもどの授業でも単位くるはずやねん。せやけど、どの授業を何回休んだかわすれもうてなー」 「このおバカさんが!それではどれだけ働いてバイトして授業代を稼いでも意味がないではないですかッ」 「そんな、自分かて留年したやんかッ」 「私はいいのです雨の日は学校に行く気がしないだけですから。あなたのように学校裏で麻雀しながらも授業はでない人とは違うのです!」 残念な先輩たちの姿にルートヴィヒが1年生達に「スト研はいい場所だ。先輩たちもいい人達だ。あまりおごってはくれないが、面倒見はいいんだ。でもいいか、お前たちの代からは一人たりとも留年者が出すんじゃないぞ」と切々と呟いたことを追記しておく。 〜Cお花見その4 タコ紹介〜就活と無縁な4年の院志望の裏切り者編 留年組のちょっと切ないわきあいあいが過ぎ去ると、次に紹介されるのはギルベルトと共に2年前の代表を務めた、理工学部4年のアーサー・カークランドである。半分酔った風情で、肩に手を回しながら殆ど絡むようにして紹介するのは、4年になるはずがなれなかったフランシス・ボヌフォワである。彼らの身体的距離が近すぎたり、アーサーの腕がフランシスの腰に回っていることについてはつっこんではいけない。 「えー、スト研ちゅーもくー。こいつはアーサー君ですよー。俺とちがって4年だよー、畜生。好きなジャンルは巨乳。なにはともあれ巨乳だよ。お兄さんが留年した理由はこいつの同人誌製作手伝ってからだよ!こいつはエロいおにーたんだよ!!」 「エロくて悪いか!巨乳は本能だろ、巨乳に反応しないよりよっぽど健康的だろ!!つかお前が留年したのは、それ以前に単位がry」 「同人製作も割と順調らしくてさー。最近はダウンロード販売とかえげつない商売はじめやがったよー。そりゃいいよなー、印刷費かかんねーもんなー」 「いやだってダウンロード販売だったら締め切り考えなくていいから楽じゃねーか」 「うっせぇアホ独りで儲けやがって、こっちにもなんかよこせッ」 「お前だって同人でも元手くらいはよゆーで稼いでるじゃねーか」 同人って稼ぐの大変なものじゃなかったけ、というツッコミも禁止である。 「なぁなぁアーサー、この間某先輩のエロゲ会社でまだバイトしとるん?70万もろたってほんまなん?」 「あれはあそこのPCの……ってこっから先いってもお前らなにやったのかわかんねーだろ!!とりあえずプログラミングの報酬でくれるっつーからry」 「聞いた?こいつ、気ぃつけてやー。いつっも簡単に人裏切って進級したり金稼いだり麻雀のry」 なんかこの先輩達仲よさそうに見えて互いに対するドロドロした情念を感じるんですけど、とセーシェルはボソっとエリザベータに呟いたが、男同士の関係は複雑怪奇なのよ……とニッコリ答えるだけだった。 まぁまぁと同級をなだめるように、次に口を開いたのは本日もこの後の合同説明会のためにスーツを着ているギルベルトである。 「アーサー、お前、理工だろ?院志望つってたけど全く就活してねーの?」 フランシスにこの裏切り者俺にもその金よこせええええと、恨みがましく肩を揺らされながら、アーサーは、いや、一つだけ受けたぜ、と答えた。 「え、どこよ?聞いてねェぜ、そんなの」 フランシスの一言に、あんまいいたかないんだが、とアーサーはポリポリと頬を掻いた。 「もったいぶるなよ。いえよ。どこだよ」 「K○NAMI」 アーサーの目が泳いでいる。が構わずフランシスはまた尋ねた。 「一社しかうけてねぇのにそこかよ!開発部だよな?どこまでいったんだよ」 「……最終面接」 「凄いじゃねーか!で、結果は?受かったらお前院やめてそっちいくの?」 「いってねぇ」 「は?」 「いや、だから最終、行かなかったんだよ、面接」 「はッ?!」 「なんでだよ、インフルエンザにでも罹ったか?」 いぶかしんで聞くフランシスに目をそらしながらアーサーは答えて曰く。 「いや、その、前日に原稿やってて翌朝寝坊して、行こうか迷ったんだよ。でも、ま、最終いけたらまぁ充分だろ?俺そもそもNINTEND○に行たいし、その前に院もあるから別にいっかと思って電話で断りをry」 「そんなアホな理由で日本のゲーマーとゲーム開発志望者が憧れる会社蹴んじゃねぇ、この裏切り者!謝れ!この不況で就職活動に苦しむ全ての学生に謝れ!っていうか先ずなによりも俺に謝れ!」 ああ、これは確かに裏切り者だ、と新入生たちはなにがどうという理由もなく納得したのであった。 |