フランスとイギリスの昔の関係がもしかしたら、俺とイギリスに近いんじゃないかと思って一度、二人が酒場でいい感じに酔っぱらっているのをいいことに聞いてみたことがある。
そしたら、「コイツがちみっ子のころは本当、まだ弱くて、今よりもっと泣き虫で不憫でなぁ……。そんな皆に嫌われていじめられている可愛い子猫を、わざわざドーバ越えて俺好みの蚤ちゃんに仕立てかったのに、今じゃこの通りだ、最低だ、エロ大使だ、このアングレース!ああ今でも顔と体だけは本当に好みなのに」とワインを仰ぎながら気だるげに応え、イギリスは「こいつの俺への第一声は「今日からお前は俺の召し使いだ」だぞ、俺はその日その瞬間から何時かコイツをぶちのめすと決めて結果(以下中略)で今に至る。いくらなんでもそんなのと、可愛かったころのお前への愛情を一緒にしたら、この場で泣いて服脱ぐぞ!」と絡まれたので大変後悔した。
そもそも、君、もう泣いているじゃないか。
 同時に、ほんの少しだけ、イギリスに感謝をし、独立して悪かったなと思った。うん、俺、あの時フランス料理につられなくて本当によかった。召し使いとか蚤とか、うん無理だ。俺、若い国でよかった、宗主国イギリス様万歳!
ただ、その後、イギリスの、耳にタコができて膿がでるばかりの愚痴が延々と続いたのでその感謝はコンマ3秒で吹っ飛んだ。

   酒を嗜むって言う言葉を知ってるかあんたら。

 こんなバカ兄(もどき)とその親友(じゃなきゃソウルメイトだよおっさん達)に育てられたわりには俺は、よくも、よくも、まっとうに育ったと思う。偉いぞ、俺。すごいぞ、アメリカ。アメリカisナンバー1!だからそんな俺を祝うために、テキーラを一瓶くれないかマスター。でなきゃアホでダメな大人二人を相手にやってられない……。
といって、ラッパ飲みして俺もプレスリーの居る天国までぶっ飛んだ。
勿論、朝起きたら地獄だった。バグでもいるみたいに俺は頭が痛いし胸やけがする。
「欧州高慢ちき大会」のワンツーチャンピオンの2人は、人の家で「吐く吐く」とわめきながらトイレを取り合ってる。誰か一人別の水場に行けばいいだろ全く!
ミネラルウォーターを飲みながら、昨日、タクシー代と飲み代をフランスとイギリスの財布から抜き取ったことは、絶対言ってやらないと心に誓った。